【大学院中退】理系大学院をM1で中退した話②修士1年編

大学院中退

こんにちは。torafukuです。

前回の記事で私の学部時代を振り返りました。
今回は前回の続きで、修士1年を振り返っていきます。

前回のおさらい
  • 研究室に配属されてすぐに周囲との学力の差を実感した私は、大学院に進学することをやめて就活すべきでは?と思い始める
  • 就活の情報が不足していたことや、周囲の人の発現に流されたことなどにより、結局院進することを決める
  • 院試に合格
  • やる気を出して真面目に取り組み始めるが、定期的に院進を決めたことをすごく後悔する
  • 卒論を書き上げたところで「研究って楽しいかも。これなら頑張れるかも。院進を決めて良かったかも。」と思い始める


コロナ禍での新学期スタート

卒論提出後、私は早速毎日論文を読み知識をインプットすることに努めました。
また、修士で取り組む研究テーマについても考え始めました。

コロナウイルスで登校出来なくなってからは、オンラインでゼミがありましたが、そこでも毎回質問をするようにしていました。

ここまで、順調なように思えますが、気持ち的にはあまり順調ではありませんでした。


論文を読んだり本を読んだりして新たな知識を得ても、驚くほど頭に入りません。恐らく、やっぱり研究に興味がなかったんだと思います。
高校までの勉強やアルバイトでは、記憶力や理解力には結構自信があったつもりでしたが、研究に関する知識となると頭に入らないし、得た情報を他の部分にどのように応用したらいいのかわかりませんでした。

ゼミでも相変わらず、同期のみんなは優秀な発表をしているのに自分の発表はとてもレベルが低いと感じて、ゼミ発表後はしばらく落ち込みました。


そして、この時期に私は「自粛期間で時間があるし英語をやろう!」と思い始めます。
英語は好きなので、英会話も単語を覚えるのも洋画を観て表現を学ぶのも楽しくて、ついつい英語ばかり勉強してしまいました。

だんだんと研究に割く時間が短くなり、そのせいで自己嫌悪に陥り、自分にどんどん自信がなくなり、また研究から逃げる、という悪循環に陥りました。


オンラインでの授業がスタート

授業が開始してからは、本格的に悩みました。

前回の記事に書いたように、私の学科は大多数が院進する学科でした。
だから、私は勝手に「ほとんどの人が惰性で院進してるんだろうな」と思ってしまっていました。

ところが、いろいろな授業で同級生とディスカッションをする中で、
「もしかして、惰性で進学したのって私だけじゃない?」
と思い始めます。

「研究の意義」みたいなテーマでディスカッションした授業では、
「研究は大変だけど結局楽しくて研究続けてしまう、という意見でまとまりました」
みたいな班の発表を聞いて、その場から逃げ出したくなりました。

みんな研究がしたくて院進してたんだ、、、。と気付き、過去の自分の決断を再び後悔する毎日に突入しました。ここでも、周りの意見や言葉に流されていました。


とにかく自信がない私は、授業の課題や発表などを終えるたびに
「また自分の頭の悪さをさらしてしまった。見当違いなことを書いていたら、発表していたらどうしよう。みんなこんなクズな私のことどう思ってるだろう。」
と考え続けて、現実逃避からずっと寝続けたり英語しか勉強しなかったりしたこともありました。
あと生理も止まりました。


ブログと読書がきっかけで中退を考え始める

中退を考え始めるきっかけになったブログ

自分の適性のなさに落ち込み続ける毎日の中で、なんとなく「大学院 中退」というワードで検索したら、大学院を中退した人のブログが何個か出てきました。

そのうちの一つに、
「秋採用している会社を探して就活をして、内定をもらってから中退した」
と書いてある記事があり、私は驚きました。

まず、秋採用なんてあるんだ!ということ。さらに、内定を貰ってから中退すれば中退という世間的なマイナスイメージを心配する必要がないこと。そして、筆者が中退して本当に良かったと思っていることが伝わってきたことが私には小さな衝撃でした。

正直、その時まで中退にいいイメージはなく、逃げ出すというイメージでした。
しかし、そのブログや他のサイトなどを見るうちに「中退して就職するのは逃げ出すというよりも、方針転換といえるかもしれない」と思いました。

2冊の本を読んで自分の現在と将来について改めて考える

次の2冊の本を読んだことも、私が大学院をやめるきっかけとなりました。

  1. 『世界一やさしい「やりたいこと」のみつけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』
  2. 『嫌われる勇気』


この2冊を読んで思ったことは

・「できる(適性がある)こと」を選ぶのは、自分が思っている以上に大切
⇒ 苦手分野を克服するよりも得意分野を伸ばす方が明らかに生産性がある
  今までの経験から、私は研究よりも企業で働く方が向いていると思う

・将来の可能性の幅を広げるよりも、自分の望む将来に向かって最短ルートを進むべきでは?
⇒ 将来のために院進したが、院進した先に自分の望む将来はあるだろうか?
  そういえば私は、大手企業に就職したいわけでも研究職につきたいわけでもない
  現時点で自己嫌悪に陥って自信喪失しているし、学費も時間もかかっている
  私にとって大学院を卒業するメリットはあまり多くないのでは?

・もっとも自分の毎日の幸せを優先した方がいいかもしれない
⇒ 大学院に在籍していることがしんどい
  こんな気持ちで残り1年半を過ごすのは、お金も時間ももったいない
  行動するなら早く行動すべき

こんなことを思いました。
もちろん「でも先生とか研究室メンバーに辞めるって言いたくないな~」とかも思いました。


でもやっぱり、「辛い」「適性がない」「楽しくない」と思いながらも行動せず我慢し続けるのは、惰性で生きていることのような気がしてきました。

この時点で、中退するという私の気持ちはほぼ固まっていました。

中退を決意したゼミ報告日

私はこの報告日が本当に憂鬱でした。
何故なら、報告することがないから。

私の研究室は研究室メンバーと先生と公用車の予定をすり合わせて、遠出してサンプリングをしていました。その時期は、なかなかタイミングが合わずサンプリングが遅れて、報告会に間に合わなかったのです。

何もデータを出さないのはまずいと思い、私は、去年のサンプルで練習実験をした結果を出しました。それでもかなりしょぼい報告資料しか出来ませんでした。

他研究室のゼミ同期はもちろんのこと、その後輩まで、超大量のデータを出して自信満々に報告していました。そしてその報告を聞いて、ゼミの先生は「すごい!データたくさんだ!」と嬉しそうにしていました。

そんな中、しょぼい報告をするのはとても恥ずかしくてみじめな気持ちでした。
そんな報告しかできない自分もこの時間も嫌で嫌で、報告後はお腹をこわしてトイレにこもりました(笑)

徹夜で朝まで実験して、バイト終わりにも学校に行って実験しているのに、授業もゼミもうまくいかないことが悔しかったです。



報告会が終わり、お腹もすっきりした私は、すぐに姉に「今日ご飯いこう」とLINEしました。

姉に会って初めて、大学院をやめようと思っていることを話しました。


姉には「いいじゃん、やめたいと思うならやめなよ」と言ってもらいました。
姉と「将来こんなこと出来たらいいね」という現実味のない話をダラダラとして、別れる頃には私は本格的に大学院を辞めようと決意しました。


私は内定を貰ってから中退したかったので、その日の帰宅後に就職エージェント2つに登録しました。
就職エージェントを使おうと思った理由は、既卒就活はエージェントを使った方が有利に進められると思ったからです。


誰にも言わず就活を開始する

エージェントに登録し、さっそく就活を開始しました。
正直、私は就活をなめていました。

私が当時読んでいたブログでは、大学院を中退した方たちはかなりスムーズに内定を貰っていました。私はエージェントを使っているし、接客バイトをずっとしていて初対面の人と話すことは苦手ではないと思っていたため、1か月ぐらいで内定がもらえると思っていました。

現実はそう甘くありません。
普通に落ち続けました。
既卒就活に関して、また別に記事を書きます!

親にも先生にも友達にも内緒で就活をしていたのですが、あることがきっかけで全員に正直に話すことになりました。

親、先生、研究室メンバーに中退を打ち明ける

そのきっかけとは、エージェントの人に「大学院中退に関して、親御さんや先生に伝えていますか?」と言われたことでした。
当時私は知らなかったのですが、中退は「やめます」と伝えてすぐできるものではなく、手続き完了までにある程度時間がかかりました。

また、私の大学院は基本的に9月と3月のタイミングでしか中退が出来ませんでした。

エージェントの方に「入社前の予定がある程度わかっていないと就活も進められない」と言われ、そりゃそうだよなと納得しました。

その日の夜に、親に
「大学院をやめて就職しようと思ってる。いま就活をしていて、明日先生に話す。」
と打ち明けました。

私の家族は基本的に私のやりたいようにやらせてくれるタイプなので、この時も中退に関しては特にコメントはありませんでした。そして就活に関して詳しく教えてくれました。
初めての就活で右も左もわからず、ただただ焦っていた時期だったため、本当に助かりました。


その翌日、先生と1時間ほど話をして、中退する旨を伝えました。

先生は私の想像以上に必死に説得してくださいました。
torafukuが研究に適性がないと思ったことはなくてむしろ今までの学生の中でもしっかりやってくれると思っていること、中退は経歴の傷になって今後苦労すること、みんなやる気があるフリをしているだけで研究が楽しくない人がほとんどだということ、
など、色々なことを教えてくださいました。

こんなに引き留めてもらって私は幸せ者だと思いましたが、私の気持ちは全く揺らぎませんでした。

でも申し訳なさと今までの辛い気持ちがあふれ出して、先生と話している1時間はずっとボロボロ泣いていました(笑)


その日は「もう一度考えてきてください」と言われたのですが、翌週にもう一度お話をさせていただいて「やっぱりやめます」とお伝えしました。


先生に2度目の「やめます」を伝えて、そのまま研究室メンバーにも伝えました。
意外にもみんな優しく受け入れてくれて「えーどうしたの!?そっかー、でも行動力すごいね」とか言ってくれました。
はーーー、優しい。迷惑かけてごめんなさい・・・。

中退手続き

事務から退学願を取り寄せ、記入をしました。
この退学願の提出が意外と大変でした。

退学願を提出するまでに、なんと4人の先生から承認印をもらわなければいけないのです。


ただでさえ中退の申し訳なさと劣等感でいっぱいなのに、先生方に直接会いに行って
「中退します。承認してください。」
と伝えるのはとても嫌でした。

嫌すぎて、一瞬、ばっくれてしまおうかと思ってしまいました。
でもプライド的にそんなことは出来ませんでした。

大して絡みのない先生方に、お約束メールを送るときや会いに行くときはめちゃくちゃ緊張しました。
怒られるかな、とか思いました。

でも、結果的には行ってよかったと思います。


ほとんど絡みのない先生方でしたが、「社会に出て気をつけるべきこと」を教えてくださったり、「研究室でつらいことがあった?」と聞いてくださったりしました。

先生によって、30分以上お話をする先生も、30秒で終わる先生もいらっしゃいましたが、
「承認印をもらう」という嫌すぎるイベントを乗り越えた達成感はとてもありました。


退学願を提出するとき、事務の方に
「今までお疲れさまでした。就職がんばってくださいね」
と言われ、泣きそうになりました。

こんな私に対して、周りの人はなんでこんなに優しいんだろう。と不思議な気持ちにさえなりました。

退学願提出後にしたこと


まず、退学願提出の準備と並行して、実験をキリがいいところまで終わせました。
引継ぎ用に、実験データは早急に整理しました。

自分の実験方法や、収集した情報もまとめて研究室に残してきました。
大したものは残せませんでしたが・・・。

実験室の整理もしました。


あと、今まで何も伝えていなかった大学の友達に全て伝えました。
驚いたのですが、本当に誰にも何も言っていなかったのに
「そうかなーって思ってた」
と言われました。

それまでのやりとりから、中退する気持ちがにじみ出ていたそうです。
友達のそんなことに気付けるの、すごいなと驚きました。


大学院中退の諸々が終わって、とても開放感がありました。
中退を後悔する気持ちは本当に全くなく、「やっと終わった」という安心感でいっぱいでした。


大学院中退してよかった

すごい勢いで大学院を中退するまでの流れを書いてきました。
抜けてる話もあるかもしれないので、思い出し次第書き足します。

何回も言いますが、私は本当に大学院を中退してよかったと思っています。
沢山の方に迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちもありますが、私の人生なので許してください、とも思っています。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

コメント

  1. […] 中退シリーズ②でも書きましたが、7月のあるゼミで中退を決意した私はその日にエージェントに登録しました。 […]

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